アメセルマーク6テナー5桁に匹敵するテナーサックス製造開始     エルクハート 大井上 博 プロフィール

 今から5年前にエルクハート Model.Sixというテナーを独自ブランド品として製作・販売して好評を博しましたが、その後台湾の工場と取引条件について折り合えが付ずこの5年くらい生産を見送っていました。そしてこの5年間の間、私はアメセルマーク6を多数リペアやオーバーホールしていました。この時のModel.Sixというテナーは当初の目的であるアメセル・マーク6シリアル5桁品の再現に対して一定の成果があったと思います。しかし、完全に同じ音が出せるかというとそれは音源を聞いていただいた方にはおわかりだと思いますがやはり違いがあります。そしてその違いが何に依存するのかという事をずっと考えてきました。また一方ではアメセル・マーク6シリアル5桁品の音ってなんだろうと言う事も研究してきました。5年前の時点では自分の所有しているシリアル8万番の音が基準になっていました。その後6万番、7万番、9万番、あるいはシリアル6桁初期品など多くのテナーに触れることができ、それぞれが傾向があり、また共通の何かがあることもわかってきました。(参考音源あり)

 ところで先ほどのModel.Sixとの音の違いについてですが一つの結論としてはラッカーの違いが大きいのではないかという事です。ご存知の方も多いと思いますがアメセルはラッカーを薄く塗り、しかも焼付け処理をしていません。あえてラッカーの強度を極限まで下げているのです。それに対してModel.Sixはラッカーは薄くはしているのですが焼付け処理はしています。そのためラッカーの強度は残っているのではないかという事です。そのラッカーの強度が管体の振動に影響を与えているのではないかと考えられます。そこで今回の新たな施策としてラッカーの強度をゼロにしてしまう事を考えました。つまりそれはノーラッカーという事です。ノーラッカーの楽器と言うのは管楽器全般でも音に対してポジティブに捕らえられていて、必ず良い結果になるはずです。アメセルもまたラッカーの強度が低いだけでなく、そのためラッカー自体も落ちやすくノーラッカーに近い状態ですばらしい楽器があります。という事で音を重視するModel.Sixにおいてはノーラッカー化はベストだという事になりました。ただ一つの問題として、ノーラッカーの弱点として、見た目の問題があります。もちろんアメセルにも多いですがノーラッカーの楽器も経年によって良い感じに変色し、渋い感じが出せる事もあるのですが、それに対して新品のノーラッカーの楽器はどうでしょうか。と考えていたところ、すばらしい仕上げ方法を見出しました。それをAUL(Aged Unlacquer:エイジド・アンラッカー)と呼ぶ事にしました。ノーラッカーの管体に表面処理をして経年変化を製作工程の中で作ってしまうのです。それで新品の状態から綺麗に経年変化したのと同じ状態になるのです。しかも、その後から彫刻を入れるので彫刻もくっきりと浮き上がって来ます。これは願ったり叶ったりの非常に渋い外観になります。こんどのModel.Sixは是非ともこれで行こうと言うことになりました。ノーラッカーは音が良いということは多くの人が知っていることなのですが、外観上の問題で避けている方も多いと思います。もちろん逆にノーラッカーの外観が好きな方もいらっしゃると思いますが、いずれにしても使っているうちに変色してくる事が全く気にならないと言ったら嘘になるでしょう。ところがこのAULはそう言う心配はないのです。表面処理が変色や錆に対する保護になるからです。(写真

 さて、ノーラッカーの話ばかりになりましたが、今回このAUL仕様で再びModel.Sixのテナーサックスを製造・販売することになりました。そこで新たに製造するに当たっては、2番管とU字管の半田付け方法の見直し、特殊加工の見直し、特殊調整に新たな施策を加えたり、など、もちろん本来の目的である音作りに力を多く注ぎました。また今回から、この音作りのための試作をしている中で試したブラス製のリゾネーターを使ったブラスレゾネーターモデルも製造することにしました。ブラス製のレゾネーターはCNCマシンによって削り出された部品で、オリジナルの初期マーク6と同じ様にネジ留めでタンポに取り付け、タンポ交換の時には再利用出来るレゾネーターです。現在生産されているサックスのメタルレゾネーターはすべて板金を金型で打ち抜いた使い捨てタイプです。サックスの中で音が反射する部分ですのでこれの特性も音に大きく関わってきます。ただし、この部品は高価なのでブラス製レゾネーターを使ったモデルと通常のメタルレゾネーターの2機種のラインナップを組むことにしました。モデル名は次のようになります。(2014年現在はブラスレゾネーターモデルは販売を終了しています。また改良が加えられ、ブラスレゾネーターでなくとも相当する性能を出しています。)

最新のModel.Sixの音源(動画)をアップいたしました。演奏しているのは関西で活躍されているジャズサックスプレーヤーの里村稔さんです。里村さんはELKHEARTのエンドーサーでもあり、ご自身もModel.Sixを大変気に入って頂き、メインで使用されています(以前はアメセルマーク6がメインでした)。




1.エルクハート MODEL.Six AUL   (AUL仕様)
2.エルクハート MODEL.Six BR-AUL (AUL+ブラスレゾネーター仕様)

(いずれもHigh F#キーなし、1年間の保証付)

 音の違いは好みもありますので音源をお聞きください。また今回は音源に数種類のシリアルナンバーのマーク6と、過去のModel.Sixの音など多くをアップいたしましたのでいろいろと比較出来ると思います。

 また、メカニズムの方ですが実はこちらも少し改良が加えられ、写真の様に右手のLow E♭とLow Cが以前は独立ポスト構造だったのですが、今回からマーク6と同じシングルシャフト構造になりました。(2014年現在はキーの形状はこの写真と違います)

お問い合わせはメールアドレス:saxophone@elkheart.jpまでお願いいたします。

ELKHEART Model.Sixはサウンド風雅さんで販売しています。




サックス工房 
エルクハート

東京都文京区千駄木5−1−9
03-5685-0406


写真












音源

エルクハート Model.Six AUL (Guardala Crescent)

エルクハート Model.Six AUL (Link Florida)

エルクハート Model.Six BR-AUL (Guardala Crescent)

エルクハート Model.Six BR-AUL (Link Florida)

アメセルマーク VI 8万2千番 (Guardala Crescent)

アメセルマーク VI 8万2千番 (Link Florida)

アメセルマーク VI 8万6千番 (Guardala Crescent)

アメセルマーク VI 8万6千番 (Link Florida)

アメセルマーク VI 6万5千番 (Guardala Crescent)

アメセルマーク VI 6万5千番 (Link Florida)

アメセルマーク VI 6万7千番 (Guardala Crescent)

アメセルマーク VI 6万7千番 (Link Florida)

アメセルマーク VI 11万7千番 (Guardala Crescent)

アメセルマーク VI 11万7千番 (Link Florida)

アメセルマーク VI 22万2千番 (Guardala Crescent)

アメセルマーク VI 22万2千番 (Link Florida)

エルクハート Model.Six VDF(前回のモデル) (Guardala Crescent)

エルクハート Model.Six VDF(前回のモデル) (Link Florida)

録音機材

レコーダー:KORG D1600(24bitモード)

マイク:RODE NT-2 (コンデンサーマイク)

MP3変換ソフト:ソニー Sonicstage V5.2

















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