ちょっとまった!パーカーからの贈り物

 実は昨年こちらの記事を書いたのですが、その内容の概要はチャーリーパーカーの作曲した曲が没後50年経ち、2005年3月11日(つまり今年の3月11日)から自由にパーカーの曲を使えるという趣旨でした。当サイトも実は大型サーバーを借りてダイアル、サボイ、バーブなどの完全盤から名演をアップしてみなさんに自由にDL(ダウンロード)してもらう予定でした。ところが、ある読者の方からご親切なメールをいただき、発覚したのですが、要するにそれはまだ出来ないことが判明しました。

 さて、その内容についてですが著作権の消滅については厳密に下記のようになっているためです。

  著作権法第57条「著作者の死後五十年又は著作物の公表後五十年若しくは創作後五十年の期間の終期を計算するときは、著作者が死亡した日又は著作物が公表され若しくは創作された日のそれぞれ属する年の翌年から起算する」ということになっています。

 すなわち、パーカーが没したとする1955年3月12日の属する年はもちろん1955年で、その翌年すなわち1956年1月1日から加算されることになります。その結果、著作権の消滅に関しては2005年12月31日以降、つまり今年の年末の紅白歌合戦が終わって、ゆく年くる年で京都東山知恩院の除夜の鐘を聞いて、カウントダウンが終わってからということになります。まあ、1年はすぐにたちますからちょっと伸びただけと.....安心していると......

さっ、さらなる問題点がまた発覚!

それはなんと聞きなれない用語「戦時加算」

 実は第2次世界大戦中は欧米と国交断絶してたわけで、その間は日本によって著作権が保護されなかったと決め付けられて、戦争中の期間に発表された曲は「戦時加算」として著作権が延長されるのです。

戦争ですからね。しかたないかっと思ってると....


しかもなんとそこにさらなる追い討ちが....

 この期間の定義として、1941年〜1945年ではなく、1941年〜1952年になっているのです。えええっ、ちょっと待ってくれ、1941年は真珠湾攻撃の年なので確かにわかる、終わりがなんで1952年、すなわち昭和27年なの?

 答えはサンフランシスコ平和条約締結の1952年4月27日ということで、これ以前の終戦後の日本はまだ独立国ではなかったということで戦時下とこじつけられている。しかし、こうなるとダイアルやサボイでの初期、中期のパーカーの作品はみんな引っかかってしまう。ところでそもそも戦争中、国交断絶していた鬼畜米英の時期、敵国の音楽(禁止されていた)である、当時のパーカーがマイルスとやっているダイアルのSP盤を輸入してNOW`THE TIMEやDONNALEEを右手パッチン裏打ちしながら聞いていた日本人なんかいたのだろうか、もちろん、一般庶民は蓄音機すらもっていなかったわけで、お金もちの戦前からのジャズファンが危険を承知で、中立国であるスイスなどを経由し当時の最新のジャズレコードを通販で買っていた可能性は否定できない。しかし、それならちゃんと著作権を払った輸入盤なのでなんの問題もないはずだ。!

ここで少しまとめてみましょう。

1.パーカー没後50年の計算は没した翌年から算出なので、結果2006年1月1日からということになります。
2.その次点で著作権消滅になる曲は1952年4月27日以降発表された作品ということになる。

 さてここで確実に著作権が消滅したと思われる曲を上げてみると、KIM、CHICHIなど主にバーブ時代のものである、もう一つ残念なのはバーブはメジャーレーベルなので、このころからパーカーは所謂スタンダード曲の原曲のメロディーを使うことが許されたので、案外パーカーのオリジナルが少ない。

 いずれにしてもまだなにかありそうだけど、確実に知る方法はないか、こういう時にJASRACに聞いてみたら?という意見もありますが、あまいあまい、世間をしらない青いなあ。まず考えてもらいたいのだがJASRACはあくまで著作料を調達する側の組織(特殊法人)なので著作権がフリーになる話や情報は自分たちにとって不利益になることはあっても何の得もなく、知っていてもまず本当の話はしないでしょう。あるいは聞けば、著作料を払ってくださいと言うかもしれない。現に著作料を払わなくともいい作品(すでにパブリックドメインになっている、作者知らずの曲など)からも平然と著作料を取っているのです。もっとわかりやすく言えば、おまわりさんに私が泥棒ではないことを証明してくださいと言ってるようなものなのです。おまわりさんは泥棒を捕まえるのが仕事で泥棒してない人を守る任務はないのです。
 さて、そこでnetJazzTimeがテストケースとなって2006年に入ってすぐ、上記などパーカーの作品をフリーDLできるサイトを立ち上げる予定です。これによって、JASRACが同出てくるか待ち構えます。何か言ってくるかも知れません。そのときは堂々と、文化庁でも東京簡易裁判書でも出向いて議論しようと思います。もしそういうことになったらその議論の様子をWeb上で報告したいと思います。またこのサイトを見ている弁護士または司法書士の方で興味のある方ご協力してくださる方は是非ご連絡ください。アドバイスをいただけると嬉しく思います。またJASRACの方でご意見がある方は遠慮なくメールをください。


と言うことを書いたのですが、...だがここで新たな問題が急浮上!

 それはインターネットと言うものは世界中からアクセス出来てしまいます。だから米国などまだ著作権フリーになっていない国からもアクセスできます。この場合米国では違法なわけです。実は当サイトですが明らかに英語圏の国と思われるところから今までに約8000以上のアクセスがあります。(一番下のアクセス解析をクリックしてみてください。)その理由は恐らくYahooUSAにも検索登録されているからだと思いますが。ところでこの場合どういうことになるのでしょうか。論理的には次のことが考えられます。仮に米国の著作権団体が日本に乗り込んでもあくまで国内法の範囲でしかクレームすることは出来ません。また裁判所も日本の国内法以外は扱えないので上記のように日本国内で著作権フリーになった曲をネットでDLできるようにしても当然何も言えない事になります。

しかーし!

 それでは米国の著作権団体は他国なので手も足もだせないのかというと、これまた論理的に言えることはその団体がFBIなどから国際刑事警察機構を通じて日本の警察がDLサイトの管理人を捕まえにくる、そして、最悪、米国に身柄を引き渡して米国の裁判所で裁かれるということは絶対あり得ないとは言えないのです。これは米国で犯罪を犯したものが高飛びして日本でぬくぬくと暮らしていけないのと同じで、また例えば日本人のハッカーが米国国務省などの重要情報を盗んだ場合もこの国際刑事警察機構は機能するはずです(この場合は日本の法律でも裁かれるので少しニュアンスが違うかも知れませんが)。昔はよほどのことがない限り個人ベースでの国際間の犯罪はなかったのですがインターネットでの結びつきによってますますこの機構は活動が増えるでしょう。とは言う物の現在のところ明確に国際間の著作権保護に対して機能するようなミッションは見当たりません。

でも....なーんとなく怖いのでやっぱりやーめた。と言うのが現時点での結論です。残念!^^)みなさん、パーカーはCDを買って聞きましょう。切腹!

あっはっはっは、残念だったね。諸君!



おまけ! 著作権ガゼビアの沼

よく言われていることですが
「どんな曲でも4小節までは著作権に関係なく使える」
真しやかに言われています。

実はこれは大きな間違えで、著作権法のどこにもそのような記述はないとのことです。4小節であろうと、1小節であろうとその曲からの引用として使う場合、作者に許可が必要になります。恐らくこのガサビアが言われるようになったきっかけは30年以上前の大昔、多くのヒット曲を4小節だけ使って繋げて1曲にした曲がヒットしたころから囁かれていたと思います。実際にはその曲を作ったプロデューサーは作曲者、レコード出版社を駆けずり回って承諾を得た労作であったと想像できます

ズブズブズブ.....ガゼビアの沼へ



尚、当記事は著作権問題に関して解説しておりますがあくまで個人的に調べた範囲でのことです。著作権がフリーになることを保証鑑定したわけではありません。

○音楽ビジネスや著作権についてわかりやすく解説されている本があります。「
良くわかる音楽著作権ビジネス


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