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 リディアンクロマティックコンセプト(以降LCCと言います)とはすでに当サイトの発展型ジャズ理論で少し説明しましたが、これを知っているとアドリブ演奏が楽になります。みなさんがいつもジャズ理論として接しているのは主にアベイラブルノートスケール理論です。ところがこのLCCはかなり違った考え方をしていますので一般にはなじみがないのですが、優れたジャズの巨匠の中にはこれを研究、習得しています。特にマイルスデイビス、ジョンコルトレーン、ビルエバンスなどが影響を受けています。特にビルエバンスは自身もこの理論を構築するさいに発案者のジョージラッセル氏と議論したり、エバンスのプレーの本質はこのLCCがベースになっているとさえ言われる事があります。
 俗にこの理論とジャズとの関係が語られる場合、コードからモードに発展した時期、マイルスに影響を与えたとされることが多いですが、実際のところモード奏法についての説明を詳しく解説しているわけではなく、この理論により「ヒント」が得られたとは考えられます。そのヒントから実際のモード奏法の楽曲に発展させたのはおそらくビルエバンスの功績が大きいと思われます。あの有名なKind Of BLUEでピアニストが曲によってウイントンケリーの代わりにビルエバンスが採用された理由はそこにあるらしいです。ビルエバンスはドビッシーの印象派からもヒントを得ています。

アベラブルノートスケールを使わなかった!

 LCC理論はコードとスケールとの関係を徹底的に簡素化しました。そして簡素化したことにより楽曲上のコードの支配する意味がより明確になり、またLCC自体は時代的にもBOPが真っ盛りの1955年ごろに生まれた理論で、最初の目的はコードチェンジに対してスケールを決める方法論からスタートします。しかしその方法論自体がすでにアベイラブルノートスケールを使わなかったことが実にユニークであったと考えられます。そして、今回は最初のスタートとなるアベラブルノートスケールを使わずリディアンスケールだけであらいるコードに対してソロがつけられるところからスタートします。

本が難し過ぎた

ではLCC理論は何故普及しなかったかというと、ジョージラッセル氏の書いた本が難しかったということも要因として大きかったと思います、文系の方の苦手な論理的な考察になれていないと理屈が飲み込めないという問題がある上にトレーニング方法など実践的な部分が少なく、本だけ読んで学ぶのは難しいということではないでしょうか。一説にはあの本が難しくて結局、ラッセル氏は本持って習いに来る人を待っていたという説もありますが、実際のところそんな簡単に教えてくれないそうです。ニューイングランド音楽院に入ってもラッセル氏から習うには選抜さらないとだめだそうです。

リディアンスケールだけでアドリブする。

 まずは実験をかねてコードにリディアンスケールだけを乗せます。「どうして、そのKEYのリディアンスケールが乗るのか」ということに関しては後ほど説明することにしましょう。まずはリディアンスケールを復習します。


ex1 Cリディアンスケール (聴いてみる


ということでCのキーで書くとFに#がつくわけですね。

ex2 コード進行にリディアンスケールを乗せます。(聴いてみる

   

ex3 次のコード進行にも乗せてみます。

   Gm7♭5 C7#9(D♭リディアン)|Fm7(A♭リディアン)   (時間がなくてサンプルつくれませんでした。)

いかがでしょうか、ex2もex3もコードに対してスケールは協和(インゴーンング)であることがわかると思います。極端に言ってしまいますと、12キーのリディアンスケールを知っているだけですべてのコードに対応してしまいます。つまり、コードネームを見たときにそのコードに対応するリディアンスケールがなんであるかを見つける法則を知ってさえいればいいのです。ジョージラッセル氏の本を見るとわかりにくいチャートが出てきますが、そんなチャートを使わなくとも実践的な法則を知っていれば取りあえずアドリブには使えるわけです。
 例えば、Cリディアンスケールが使えるコードはなんでしょうか

ex4 Cリディアンスケールが使える(協和)代表的なコード

  C(maj9、69、maj+4)
  D7(9th、11th、13th)
  F#m7♭5
  Am7(9th、11th)
  B7♭9(#9th)

ex4はもちろんCリディアン〜Bリディアンまでキーが変わっても度数間隔は維持されます。このことで少なくともここで出てきた代表的なコードタイプにリディアンを当てはめることができます。またこの中に2種類の2−5進行の組み合わせが入っていることに気づかれる方もいるでしょう。

 つまり、Am7−D7 と F#m7♭5−B7♭9 です。これらはCリディアンスケールでできてしまいます。一つのスケールで2種類の2−5進行に対応します。今回はストレートにLCCの入り口のとこまで説明しました。

つづく


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