→→ 最新記事 世界初、アメセル5桁匹敵テナー製造開始 もあります。


アメセルに代わるテナー登場!
(挑戦アメセル!のサックスが製品化へ)   by アローン


 すでに挑戦!アメセルでアメセルに挑戦したサックス改造記事をご覧になった多くの方がいらっしゃると思いますが、現在この挑戦!アメセルのサックスはプロのサックスプレーヤーであるFさんに使っていただいてます。因みにFさんはこのサックスを気に入っていまして、テナーの仕事のほとんどをこの楽器でこなしているそうです。また「それアメセルですか」と良く聞かれるそうです(^^)。そしてこのプロトタイプで養った技術を投入したサックスを多くのサックスプレーヤーの方にも使っていただきたいと言う思いから製品化することになりました。そして新しいサックスのブランド「ELKHART」を掲げました。製品化したテナーサックスは「ELKHART Model.Six」です。このサックスの目標は高く、良質なアメセルマーク6の再現です。アメセルはマーク6(MARK Y)、SBAともにビンテージの価格はますます上がり、簡単には手が出なくなってきましたがアメセルマーク6のようなサウンドや吹奏感が得られる新品の楽器が安く手に入るならそれに越したことはないわけです。当初、私がアメセルの代わりに吹ける代替サックスがほしくてこのプロジェクトをはじめましたがついに製品化という段階にたどり着きました。

台湾製サックスの時代

 2005年7月某日、「もしもし、おたくから直接サックスを入手できないでしょうか。私は日本でサックスを売っている者です。」A社の台北の事務所につたない英語で国際電話をかけました。このA社がどこであるかは契約上言えないのですが、所謂OEM(数社の大手サックスメーカー向けに)でサックスを生産供給している優秀な台湾のサックスメーカーなのです。因みに台湾のサックスメーカーは台中という都市を中心におよそ20社くらいあるそうです。人口2200万人の台湾で20社、1億2000万の日本に2社しかないのはアンバランスに思えますが、実は台湾のメーカーはいわいる中小企業で、むしろ1社1社が職人の集団といった方が良いでしょう。サックスの生産も手作りで機械化はしていません。
 私が台湾のメーカーに目をつけたのはすでに15年前にROXYという台湾製のサックスを手にしてその品質の高さ(同じ価格帯の国内メーカー品よりはるかに上)に驚いたのが始まりですが、現在ではそのときのレベルよりさらに高くなり、一流品の製造も可能な工場もあるという点でした。一方でそうした台湾製のサックスは日本ではすでに高価な楽器になりつつあります。そこで私が初めに考えたことは台湾製のサックスで良い物を探して、自前のアメセル化技術を投入してそれをサックスプレーヤーの方に使ってもらおうと思ったのでした。しかし、日本で買えば高いので直接台湾のメーカーから取れないかということだったのです。
 その後A社のゼネラルマネージャのジェームス(仮称)から思いがけない提案がありました。どうやら私がサックスに対してクレージーな日本人であると思ったらしく、「それなら、いっそうのことオリジナルブランドにしたらどうか」ということでした。なんとオリジナルブランドとは驚きでした。確かに私のアメセル化技術をA社のサックスに施せばそれはもう歴然とした違いになることはわかっていました。だからA社の製品ではなくオリジナル製品として販売していくことは話の流れとしては合っているのですが、それにしても夢のような展開になりました。そして「出来るだけ早くロゴを送ってくれ」といわれました。私は「ELKHART」というブランド名を考えました。そのロゴデーターを台湾に送りました。ジェームスは私に「良いブランド名だ」と盛んに言ってました。そしてこちらの出した仕様に基づいて試作品を1本作ってくれるということになりました。

量産試作1号機

 もらったカタログからベーシックなモデルを選び、それをベースにいろいろ注文をつけていきましたが、結局こちらの主な要求は 新ロゴの金型を起こす事と、HighF#キーをなくす事。仕上げをビンテージ・ダーク・フュニュッシュという特別なものにしてもらうことなどでした。因みにビンテージ・ダーク・フュニュッシュは木目の細かいサテン仕上げに艶消しの薄い塗装をすることによって「挑戦!アメセル」のプロトタイプと同じような仕上がりになります。この仕上げは塗装面が薄いのでノーラッカーと同じ効果があり、金属の振動を豊かに響かせます。そしてノーラッカーモデルのように錆が出る心配もありません。アメセルのようにラッカーの自然乾燥という手もあるのですが、実はこれは途方もなく手間のかかる作業なのでもちろん採用しませんでした。

ビューティフル、しかしネックが違う!

 台湾からテナーを送ったというメールが入って、翌日にはこちらに届きました、海外でも台湾は近いなと改めて実感しました。早速開けてみると、その出来栄えは「ビューティフル」と思わず叫んでしまいました。なんと言っても自分のロゴが入っているのが嬉しい。ビンテージ・ダーク・フュニュッシュにHighF#キーなしはバランスの良い外観だと思います。そして黒蝶貝のボタンのアクセント、貝模様の入ったサムレストもおしゃれです。早速アメセル化の作業を開始。楽器自体の精度が高いので修正作業はなくアメセル化だけに集中出来ました。アメセル化はすでに報告したように特殊調整、特殊加工(1,2)、2番管とU字管の半田付けなどですが、その後の研究や、実はFさんから教えてもらった秘伝の調整が新たに加わり、合計4工程になります。今回は試しに半田付けだけ先にやって見ました。その結果はやっぱり今一でした。やはり残りの3工程を施した状態でないと納得できませんでした。ところが今回すべての調整、加工が終わった時点で、まだ音色や吹奏感が違うという感触があり、むしろ現在Fさんの所有しているプロトタイプの方がアメセルマーク6に近いと思いました。その結果わかったことはネックの形状の違いでした。このネック(以下:「6もどきネック」)の形状はマーク6と同じだと思っていたところ、良く見るとだいぶ違っていました。確かにマーク6と近い形状の部分もあるのですが、所有しているアメセルマーク6のネックと比較してみるとずいぶん違うことがわかりました。右の写真の一番下にあるように「6もどきネック」は2番管とのソケット部から少し上に伸びてからカーブがはじまります。そしてその伸びた分だけネックの先端がマーク6より短くなります。マーク6のネックはソケット部からすぐにカーブし始めます。一見わずかな違いですがこれが吹奏感と音色を全く変えてしまうのです。試しにアメセルマーク6のネックをこの試作品に装着してみたところ、ほぼアメセルマーク6と同じ音色、吹奏感が出るではないですか。後一歩でアメセルになるかも知れない! なんだか体がちょっと震えました。
 さて、いよいよこのサックス開発の山場になります。A社ではどうもこの「6もどきネック」がマーク6だと思い込んでいるようです。実はA社だけでなく最近ちょっと注目されている台湾メーカー(複数)もみんな同じような形状の「6もどきネック」を使っています。A社に違うということを納得させて新たなネックを起こしてもらうしかない。これは容易なことではありませんでした。彼らにとってはある意味で台湾スタンダードな「6もどきネック」の方が生産上都合が良いのです。しかし、このネックに関しては絶対譲れない。最終的にジェームスとフェースtoフェースのミーティングをもち、そこで決着がつき、2号機が届くまで約3ヶ月かかりました。実はこのマーク6タイプのネックカーブの再現はとても手間が掛かるらしく、実際にはジェームスが職人たちを納得させるためにかなりの時間を費やしたようです。新しいネックはそれようの新たな金型も必要になります。私が送ったマーク6のネックカーブを手がかりに起こしてくれることになりました。いずれにしても私のわがままな要求をすべて受けてくれたA社にはとても感謝しています(ここで説明していない細かな要求も沢山あります)。この新しいネックと伴に2号機が届いたのが2006年1月某日でした。

アメセルマーク6ライクと言えるサックスの誕生!


 2号機ではさらに手彫りの彫刻も入れてもらうことにしました。手彫りの彫刻はベル全体とU字管にも入っている豪華なものです。早即アメセル化の作業を終えて吹いてみました。感動の瞬間です。ビンテージでない新品のサックスからビンテージライクな音が出ます。アメセルマーク6の様に息がスムーズにドーンと入り、とても自由にパワフルに鳴ります。ザラッとした成分も程よくついてきます。そしてなんと言ってもこのマーク6のネックカーブを再現したおかげで吹いたときに感じる音のツボがアメセルマーク6と近いのが嬉しいです。この感動を他の人に味わってほしい。そんな気持ちでいっぱいになりました。

参考音源(さすがにこのアメセル MARK VI と同じ枯れた音とまでは行きませんが同じような音のツボで吹ける楽器であることがうかがえると思います。これから吹き込んで音が枯れていくのが楽しみです。)

1.ELKHART Model.Six        MP:デイブ・ガーデラCRESCENT

2.アメセル Mark Y シリアル8万 MP:デイブ・ガーデラCRESCENT

3.ELKHART Model.Six        MP:オットー・リンクフロリダモデル

4.アメセル Mark Y シリアル8万 MP:オットー・リンクフロリダモデル

拡大写真のあるページ

製品仕様
テナーサックス
メーカー      ELKHART
モデル名     Model.Six
High F#キー   なし
管体        ブラス製(フランス製)
タンポ       イタリア製
レゾネーター   メタルレゾネーター 
仕上げ      V.D.F(Vintage Dark Finish)
彫刻        手彫り
付属品      ケース、マウスピース、リガチャー、キャップ、ストラップ、保証書
製造方法     ハンドメイド
販売価格     お問い合わせください

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団子坂スタジオで試奏することが出来ます(平日午後7時〜10時、土日祭日午前11時から午後10時)。メールまたはPHS:070-5076-5400で事前にご連絡ください。また、その他のお問い合わせも上記メールまたはPHSでお受けいたします。

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購入されたお客様の声!

本当にすばらしい楽器で正直驚きました。
上から下までとってもバランス良く鳴ってくれました。
また現在使用しているアメセルYと吹き比べてみましたが
負けないくらい渋い音色で本当にうれしかったです。
音色もYの音色と変わらないですね。かなり近いので!
また吹奏感もネックのお陰でYそのものです。
個人的にザラッとした渋い音色を追求していますので
これからどんどん吹き込んでいって楽器を育てていければと
思っております。またジャズの曲もたくさんテーマを吹ける
ように練習に励みたいと思います。
彫刻やルックスもすばらしいです!
 これも大井上さんがYの音色やネックにこだわり作って頂けた
お陰です。本当に今回はすばらしい楽器をお譲り頂き
ありがとうございました。心より感謝しております。
末永く大切に使用させて頂きますね。
                        D.K様



Model.Six 異常なく届きました。
 まず最初にセルマーのソロイストG(オールド)、ラボーズ
のM(普段使用しているセッティング)で試奏、次にデイブ
ガーデラのスーパーキングで試奏、2つともセリエ2で吹く
よりもとても吹きやすく低音からフラジオまでなんの苦労も
なく吹くことができました。
 そしてセリエ2では抵抗がありすぎて吹きこなせなかった
オットーリンクラバー8を取り出して吹いてみたところとても
いい具合で鳴ってくれました。
 最初はとても不安でしたが、購入してとても満足しています。
 F#キーがないので、これからフラジオのF#とG、G#の
変え指をさがす作業があるので慣れるまで時間が掛かりそう
ですが、Model.Sixといっしょにアドリブや曲のレパートリー
を増やすべくがんばりたいと思います。
          〜ありがとうございました。〜

                        K.S様


お世話様です。
本日、届きました。
早速、半日吹いてみましたが、いいですね〜
とても気に入りました。
有難う御座いました。
                        T.M様


model 6 を購入しました○○です。どうもありがとうございました。
先日後輩の結婚式にて始めて披露しましたが、音の抜けやルックス等すべてに満足しました。大変よい商品をありが
とうございました。今までのSA80よりは明らかにビンテージの音がすると思いました。

                        T.U様